恵明寺
平安期に創設されたといわれる恵明寺は、六阿弥陀伝説(ろくあみだでんせつ)で有名な真言宗のお寺です。
六阿弥陀伝説は、足立庄司宮城宰相(あだちしょうじみやぎさいしょう)の娘の足立姫にまつわる伝説です。足立姫は不仲な姑との生活に耐えきれず、ある日、川に身を投げてしまいます。悲しんだ父は高僧・行基(ぎょうき)に依頼し、6体の阿弥陀仏と余った木で如来像を作りました。
これらの仏像は娘の供養のために、近隣の寺に別々に祀られました。恵明寺のご本尊(ほんぞん)はその時に作られた阿弥陀如来で、ふっくらとした温かみのある表情をしています。
江戸時代以降、これらの寺を参拝する六阿弥陀詣(ろくあみだもうで)をすると、女性が幸せになれるといわれ、庶民の行楽も兼ねて流行しました。今でも春と秋のお彼岸の時期にご本尊の阿弥陀如来が一般公開されています。
悲しい伝説をもつ恵明寺は、江北に古くからある女性の幸せを願ったパワースポットです。
(2022年6月)