地福寺
地福寺は、江北氷川神社のそばにある真言宗寺院です。ご本尊は地蔵菩薩で、恵明寺(江北二丁目)の末寺でした。戦災により記録の多くを失っているため詳しい歴史は分かりませんが、境内には寛永年間(1624~1644年)の墓石が残されており、 長い歴史の一端を静かに物語っています。
◾️自然に囲まれた寺
今では住宅地の一角にある地福寺ですが、かつては隣にある江北氷川神社とともに、木々に囲まれた静かな場所でした。
大正時代に童話作家の宮沢賢治がこのあたりを歩き、次のような短歌を詠んだそうです。
「ここはまた一むれの墓を被ひつゝ
梢暗みどよむときはぎのもり。」
この短歌の「ときはぎのもり(常盤木の森) 」は当時の氷川神社と地福寺近辺の自然で「墓」は地福寺の墓ではないかという研究があり、当時を想像させます。
山号は草堂山(そうどうざん)。 今も境内の美しい草木が、訪れる人をやさしく迎えてくれます。
◾️イベントで地域のつながりを
地福寺では、七草粥法要(1月)と秋季法要コンサート(11月)の年2回、地域に開かれたイベントを行っています。どちらも檀家以外の方も参加可能で、仏教の教えに触れる機会です。こうした行事には、檀家はもちろん、近隣の方々も協力しています。準備や運営をともに支えることで、お寺が地域に根ざしていることが伝わってきます。
住職の石井氏は「ご縁を大切にする地域のお寺でありたい。気軽に立ち寄り、心を癒やしてほしい」と話します。
地福寺は地域に開かれたお寺として、これからも人と人をつないでいきます。