性翁寺(しょうおうじ)
足立区扇に約1300年前から伝わる、浄土宗寺院の性翁寺。
神亀3年(726)春、高僧・行基(ぎょうき)が足立姫の菩提所として開創したと伝えられています。
◾️木余り寺に眠る足立姫
性翁寺は、地元では親しみを込めて「木余り寺」「木余りさん」と呼ばれています。これはこの地に住んでいた足立庄司宮城宰相(あだちしょうじみやぎさいしょう)の一人娘の「足立姫」にまつわる、「六阿弥陀伝説」に由来します。足立姫は不仲な姑との生活に耐えきれず、ある日、川に身を投げてしまいます。悲しんだ父は行基に依頼し、6体の阿弥陀仏と余った木で如来像を作りました。性翁寺は、この余り木で作られた「木余り如来」を供養し祀っているため、「木余り寺」と呼ばれています。
この、木余り如来(正式名称:木造阿弥陀如来坐像)は、東京都指定有形文化財に指定されており秋に東京都が開催する「東京文化財ウィーク」の際には一般公開もされています。
江戸時代以降、足立姫ゆかりの寺を参拝する六阿弥陀詣が流行し、木余り如来とともに足立姫のお墓がある性翁寺には、多くの参拝客が訪れました。参拝者の多くは女性で、姫の供養とともに、女性の幸せを祈願したそうです。いにしえより幸せを祈り継がれていた性翁寺。歴史の痕跡をたどりながら秋の散策に訪れてはいかがでしょうか。